KF-11プロジェクトリーダー鈴木の総評です。
KF-11プロジェクトについて振り返ってみたいと思います。
KF-11プロジェクトは昨年の大会後に始まりましたが、車両の仕様の検討に多くの時間を費やしました。「軽量・コンパクト」という従来の考えを踏襲しつつ、変化していきたいとの思いから「熟成+変化」というコンセプトを掲げましたが、プロジェクト開始当初はタイヤを13インチのままで行くか、10インチにするか悩んでいました。実はシミュレーション等ではあまり両者に差は見られなかったのです。また、10インチ化は軽量という点から魅力的でしたが、初めてということもあり挑戦的でもあると感じていました。しかし、変わるなら今しかないと判断し10インチ化を決断、すぐに製作日程を組み製作に入りました。3月の富士試走会での走行を目標に製作を進めた結果、ほぼ予定通り3月4日にシェイクダウンを行うことができました。
その後は静的審査対策を行いつつ、セッティング出しを行いました。早々に昨年度車両のタイムを更新し、マシンは良好でした。しかし6月に静的審査対策も一段落つき、7月は毎週のように走行試験に行く予定でしたが、テスト走行中にマシンが大きく破損してしまい、その修理のため8月の富士試走会直前まで走行不能となってしまいました。この時、シャシー班は何事も無かったようにすぐにマシンを修理し、余裕を持つことができました。そこで、富士試走会前の確認のため走行を行いましたが、エンジンがきれいに回りませんでした。フルコン化に伴うカムポジションセンサーが不安定であることが原因でした。そこで私はフルコンを諦め、純正ECUに変更することを決断しました。大会で確実に結果を残すにはそうするしかないと思ったのです。フルコンを諦めたのは悔しかったですが、その判断は間違っていなかったと今は思います。
そして、富士試走会に臨みましたが、ここで上位校に迫るタイムを記録したのは自分自身驚きでした。昨年5秒以上あった上位校との差はほとんど無くなったように感じました。しかし、大会前最後の試走会であるもてぎ試走会ではフロントハブのガタが発生し、走行不能となるレベルに達しました。そこで試走会2日目の参加を断念し、ガレージでの作業に時間を充てました。フロントハブはそのままの設計では大会時にもガタが発生する可能性があったため、急遽設計変更を行い、そのハブの動きをを実走で確認し大会へ臨みました。試走会での結果からオートクロスは自信がありました。しかしいざ走ってみるとコーナー侵入時に車が反応しません。試走会時とは異なるマシンのようでした。そこでセッティングについて話し合い、エンデュランスに向けてセッティング変更を行いました。冷静に考えれば富士試走会とはフロントハブの仕様が違うことに気づけたはずです。リーダーとして冷静さに欠けていました。恐らくフロントハブの剛性が上がったことで、これまでの剛性不足によるキャンバー変化が無くなり、挙動が変わったのだと思います。また、ドライバーとしてもその点に気づくべきでした。車両のポテンシャルは高かっただけに大変悔やまれます。それでもコスト審査3位や最軽量化賞、動的競技トップ10に与えられるICV特別賞を受賞できたことは本当に嬉しく、表彰台はとても気持ち良かったです。
総合成績としては8位と過去最高の順位を獲得することができました。昨年の悔しさを経験しているため、確実に結果を出しにいきました。しかしそれではやはり目標には届かないと思います。目標である6位表彰台にはまだ少し壁があります。その壁を打ち破れるよう、後輩には頑張ってほしいですし、自分も力になれればと思っています。
私は1年間リーダーを務めましたが、私がリーダーを続けることができたことは不思議でなりません。辞めようなどとは思いませんでしたが、私はリーダーには不向きですし、実際リーダーとしては不合格でした。しかし、それを支えるだけのメンバーがいたからやってこれたのだと思います。本当に感謝しています。先輩方にも本当に迷惑をかけました。これからは私がその立場として頑張りたいと思います。
最後になりますが、この学生フォーミュラ活動を支えていただいているスポンサー様やOB・OGの皆様、先生方には心から感謝申し上げます。この活動は非常に厳しいものであり、大学生活のすべてを費やすといっても過言ではありませんが、メンバーにとって一生の宝物になります。一生懸命活動して参りますので、今後とも変わらぬご支援をどうぞ宜しくお願い致します。
(鈴木)
こんにちは。ニュースメール担当の深町です。実はこれがニュースメール担当最後のお仕事となります。最後のお仕事は涙涙のお仕事でした。本当に。いつも期限を守る先輩も、いつもは期限を守らない先輩も(笑)期限内に次々と原稿を提出して。原稿に目を通すと、1年間が溢れてくる。そのような最後にいい仕事をさせていただきました。本当にありがとうございます。
さて次のニュースメール担当は、理工学部1年湯朝直仁(ゆあさなおひと)となりました。来月10月号からは湯朝直仁がニュースメールをお送りいたしますので、どうぞ宜しくお願いします。次回からは同輩や後輩はきっと締切日を守ってくれるでしょう。
1年間色々感想をいただきました。とても励みになりました。本当にありがとうございます。また最後の最後までミスをしてしまい、支えてくれている方々に大変失礼なことをしてしまい申し訳ありませんでした。今後はチェック側に回る立場としてしっかり目を通してまいります。
今後とも慶應義塾自動車工学研究会を宜しくお願い申しあげます。
(深町)