■Formula-SAEとは、SAE International(SAE = Society of Automotive Engineering)主催の自動車競技会です。1980年、日本の自動車生産が米国を越し、座って勉強するだけでは優秀な人材が育たないと危惧したSAEが、実践的なものづくりによる人材の育成を目的として1981年から毎年開催しています。
学生のみで組織されたチームが約1年かけてフォーミュラースタイルのマシンを製作し、そのデザインやアイデア、そして車両性能を競い合います。米国ではSAEとビッグ3(GM・フォード・クライスラー)が連合し、今は国内外から120校を超えるチームが参加する国際的な大会になっています。その80%以上は研究として取り組み、単位として認められています。
会場では多くのサポート企業のもとで、将来自動車産業のエンジニアとして活躍したい学生のリクルーティングの場ともなっています。
>>>Formula-SAE
■日本では近年、少子化や実践的な大学のカリキュラムの減少により、将来における優秀な技術者の不足が懸念されていました。その状況をふまえ、自動車技術に関する設計コンペティションがない日本において、公益社団法人 自動車技術会(Japan Society of Automotive Engineers)が日本でも米国と同じレギュレーションで開催することとしました。そこで誕生したのがFormula-JSAE(全日本学生フォーミュラ)です。
学生による仮想企業の運営、実践的な設計・製作作業によりものづくりの総合力を高めることが狙いとなっています。
第1回大会は2003年8月に富士スピードウェイにて行われました。第1回は国内17チーム、第2回は海外からの参加も含め全37チーム、 そして第3回は45チームがエントリーし、大会規模は年々拡大しています。日本だけでなくイギリスやオーストラリアでも同じルールで開催されています。
>>>全日本学生フォーミュラ大会HP
■マシンはSAEが定めたレギュレーションに沿って製作しなければなりません。設計の自由度は高く保たれているため、 チームそれぞれのコンセプトに沿った独創的かつ個性あるマシンがデザインされます。
しかし安全性については厳しいルールが定められており、それらは車検で厳しく検査されます。そして最終的にクリアしたマシンのみが走行を許されます。
■車両はアマチュア週末レーサー向けに販売可能なもの、1日4台以上の生産が可能であるものが想定されています。また1台あたり $25,000以下という経済的な条件もあります。つまり、加速・ブレーキ・ハンドリングが容易で高いパフォーマンスを持っていること、そして安全性・信頼性の高さが求められます。
また、材料・製作工程・組み上げを考慮し、コストを低く抑え、製品としての価値を高めることが必要となります。それに伴うチームの企画・運営も学生主体で行う必要があるため、チームは企業としての要素を持っているのです。
競技は静的競技と動的競技があります。
それぞれの内容と配点は以下のようになっており、その総合点数で競われます。
静的競技 | コスト | 100 |
---|---|---|
プレゼンテーション | 75 | |
デザイン | 150 | |
動的競技 | アクセラレーション | 75 |
スキッドパッド | 50 | |
オートクロス | 150 | |
エンデュランス | 300 | |
燃費 | 100 | |
合計 | 1,000 |
事前に提出したコストレポートにより車両1台の製作にかかるコストが評価される。
コストの計算には単位あたりの材料費・加工費・人件費などが示されたコストテーブルがあり、ただ安いだけでなく、製作における製造工程やマネージメントの能力が評価の焦点となる。
顧客相手を想定しての、車両のプレゼンテーション能力が評価される。
デザインの優位性・市場性などをアピールする。
車両設計における審査。
設計・製作における工夫や技術、そしてそれが市場のニーズに適っているかなどが評価される。ボードなどによる資料を使って発表し、質疑応答が行われる。
直線75mのタイムで加速性能が評価される。
直径15.25mの円2つによる8の字コースの周回タイムでコーナリング性能が評価される。
直線・ターン・スラローム・シケインなどによるタイトなコースを周回し、タイムを競う。
エンデュランスの予選にもなっていて、上位から順にエンデュランスを走行する。
2人のドライバーがそれぞれ11km、計22km周回し、タイムを競う。
車両の全体性能・信頼性が評価され、完走しなければスコアは得られない。
エンデュランスでの燃費が評価される。