チーム立ち上げへの奮闘

ちょうどプロジェクト開始から1年が経ち、節目のタイミングであることから、今までどんなことをやってきたのかについて時系列的に記そうと思います。学生フォーミュラチームをこれから立ち上げようと思っている人の手助けになれば幸いです。主要な出来事については「News」を参照していただけると良いと思います。

なぜプロジェクトを始めたのか。

元々モノづくりに興味があり、比較的自由度の高いルールのもと、学生のみで1からレーシングマシンを設計し製作することは今しかできないと思い、その大会に魅力を感じたからだ。また私が入学したタイミングでチームが存在していなかったことを受け、「自分でチームを1から立ち上げてまでやろうとは思わないが、学生フォーミュラには興味があり、チームがあるならば参加したい」と思っている人が学内にいるのではないかと思い、その可能性に賭けて入学直後に自らTwitter公式アカウントを立ち上げプロジェクトを開始した。

スタートラインに立つまで

その公式アカウントを作成し、メンバーを募ったところわずか1日で50以上の「いいね」が来るなど予想を上回る反響でとても驚いた。そこでかつて慶應で学生フォーミュラを経験したOB・OGとコンタクトを取る機会があり、5年前まで学生フォーミュラに参加していた自動車工学研究会というサークルの存在を知った。

マシンの発掘

そのOBの方々から当時の活動について話を聞いたところ、昔使っていた作業場所であるガレージの場所があると知り、後日すぐさま駆けつけた。

↓2019年6月21日、このマシンと出会った。これを見て、チームを復活させようと強く思った。ここから怒涛の立ち上げプロジェクトが始まる。

5年近く屋外に放置されてあったのだから、当然錆や腐食も見られた。

この日はガレージの中には入れず、窓から必死に中を覗いてみた。目の前には錆びた鉄パイプが立てかけてあり、少し不気味な感じがした。

それから数日後、ガレージに入ることができた。

(↓)これがその時の写真だ。ガレージ内には大きな定盤があるのだが、それすらも見えない程ゴミが散乱していた。現に先住民は居室の利用がほとんどであったらしく、まさに作業場はゴミ屋敷そのものだった。

早稲田大学WFPに帯同

学生フォーミュラが一体どういうものであるのか、それを知るために、実際に現在進行形で活動しているチームを訪れた。現在でもお世話になっている早稲田フォーミュラプロジェクト様だ。

下の記事でも同主旨の内容を書いたが、6月の下旬早稲田大学の’19マシンのシェイクダウンに参加した。学生フォーミュラマシンが動いているのを初めて生で見たのがこの日だった。
使っている工具とその使い方、マシンの製作までの期間やスケジューリングなどざっくりではあるものの、今後プロジェクトを始める上で大切な指針を立てることができた。

学生フォーミュラマシンをはじめて見ました。 学生自らが設計して製作する、というところに大変惹かれました。 慶應でももう一...

メンバー募集1期目

何事もプロジェクトにはメンバーが必要である。

そこで実際に学生フォーミュラを経験した数名のOB・OGの方を交えた顔合わせ会を行った。あるOB様はイギリス(現地時間朝3:00頃)からスカイプで私たちを激励してくださった。OB・OGの皆様、ご多忙の中、大変お手数をおかけしました。

ちょうどその日付近で、Hondaパワーユニットを搭載したRedbullが優勝し、青山本社でモックアップが展示してあったので、メンバー3人で見学しに行った。こんなマシン作りたいなと本能的に感じた。

この顔合わせ会の他にも、学生フォーミュラに興味を持ってくれてDMをしてくれた人たちには個別で話す機会を設けた。たとえ必修の授業があろうと、それを切ってまでメンバー募集に時間を割いた。この判断は正しかったと思う。ほんの少しの自分の我慢だけで、1、2年後には学生フォーミュラという夢のフィールドに立てるのだから。しかし、この1期目で集ったメンバーは今1人しか残っていない。みんな結局音信不通である。またこれについては後述する。

2019年大会に早稲田大学のメンバー(?)として帯同

8月に行われた大会に足を運んだ。一番右が私である。
顔合わせ会に来たメンバーなどLINEグループにいるメンバー全員に大会に行こうと声を掛けたが来なかった。来ると言っていた人も結局来なかった。

image

大会は何もかも新鮮だった。

車好きはかなりマイノリティだ。しかしこの大会に参加する人皆が車への理解がある。自分と同い年あるいはその付近の人たちの中でこんなにも車好きがいるのだと少し嬉しくなった。
そしてモノづくりのレベルは想像以上に高かった。

例えばこれは京都大学のマシンであるが、ワンオフのアップライト、ダウンフォースを狙ったフラットボトムなど同じ大学生にも関わらずモノづくりへの情熱とそのスキルに大変刺激を受けた。

メンバー募集2期目

夏休みはガレージ清掃をすることが第一優先事項だった。何人かは掃除を手伝いに来てくれたが、その暑さが故にすぐ帰ってしまった。それから彼らも音信不通である。恐らく、暑さではなく、ゴミの散らかり具合に諦めを感じたのだろう。私は、その後何回か連絡を取ろうと試みたが、適当な返信ばかりで何度もドタキャンされた。

このプロジェクトは利益を求めないサークル活動である。楽しくなければ続けるか否かは本人の自由であるのだ。ここに長らく悩まされた。学生のみで自動車を創ることは簡単なチャレンジではなく、「何を学びたいのか」や「モノづくりの楽しさ」を感じられない人は極めて難しい挑戦だと思う。実際に他チームでも同じ悩みを抱えているところが多く、これが学生フォーミュラの難しいポイントの1つであると思う。ただ車が好き、では続かないのである。

やはりメンバー募集は引き続き行った。その1つに次のポスターがある。大したイラストではないし、今どきイラストレーターではなく手書きのイラストなんて非効率だと指摘する人もいるかと思うが、当時の僕にとってこれが精一杯だった。

ちなみにこのポスターは10月に行われる矢上祭に向けて作成したのだが、生憎台風19号の影響で、矢上祭自体が消滅した。少数精鋭の中ポスター作成に掛けた労力は結果的に無駄であった。

これを機に、活動の方向性をメンバー募集から車両のレストアへとシフトして行った。やはり車をいじることこそ学生フォーミュラならでは体験である。さらに、新入生が大学に入ってくる2020年度の4月には新歓が行われる。そこでマシンの展示をすることで盛大なプロモーションができ、学内の学生フォーミュラへの認知が高まると共にメンバーの増強につながるのではないかと考えた。

エンジンチェックと車両の分解

ガレージ内をパッと見たところエンジンは3器発見した。(のちに4器目が急に見つかる)

そこでエンジンがかかるのかどうかのチェックを年内に行うことを直近の目標とした。メンバー募集だけの活動から一転、学生フォーミュラのそれっぽくなってきた時期だ。

不要なものを捨て、何とかマシンをガレージ内に搬入できるスペースを作った。ゴミで埋もれていた定盤もやっと発掘された(当然サビサビではあったが)。

活動場所は依然として狭かった。先住民がなかなかスペースを譲ってくれなかった。

ここからマシンの分解作業が始まる。

■余談

このあたりで東京モーターショーが開催されたので、行ってみた。ドイツメーカーがほとんど出展していなかったり、自動車メーカーであるはずのメーカーは新車やコンセプトカーの出展ではなく、車のあり方を再考させられる「モビリティ」というアイデアを全面的にアピールしていたのが印象的だった。

個人的に今回の目玉はコレだった。トヨタ・ホンダそしてヒュンダイの3社しか作っていない燃料電池車の1つであるMIRAIの次期モデルだ。私はEVも好きであり、注目している。燃料電池車には課題も多くあるが、50年後私が生きる世界ではこの燃料電池車が広く普及しているのか、逆に燃料電池車は消滅しているのか、そんなことを考えさせられる1台であった。

雑談は以上です。

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タイヤホイールが外し終わり、側面のパネルも全て外した状態だ。何となく予想はしていたが、それよりも遥かにサビが酷く固着してボルトが外せない。とても苦労したのが印象深い。

分解はつづく。

そしてサスペンションやアーム類の取り外しを終えた。もうすでに12月であった。いと早し。

そしてエンジンオイルやタンクに残っていたガソリンを全て回収した。古いガソリンについてはちゃんとガソリンスタンドで処分してもらった。

スズキ株式会社主催のエンジン講座で学んだことなどを参考に、エンジン再始動を試みる。

その時の様子を撮り忘れており、掲載できなくてとても残念なのだが、無事エンジンをかけることができた。2019年内にエンジン再始動を試みるという11月に立てた目標を達成したときは何とも清々しい気持ちになった。おかげで気持ちよく年越しできた。

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メンバー募集3期目

理由はわからないが、エンジン再始動後に複数人から活動に興味があるとDMをもらった。今までは積極的なメンバー募集で失敗してきたが、今回はそれっぽい活動を続けていた中での出来事であり、少し驚いた。ここで学んだことは、1つの場所に留まらず今できることだけでいいので何かしら行動することの大切さだ。できないことを願っても叶わないのだ。

このような経緯からメンバーは10名程度となり、プロジェクトは順調に進んでいく。

次なる目標は新歓である。新歓を通じてさらにKeio-Formula.Comの認知を学内に広めたいと思った。そこで新歓に向けてKF-13を本格的にレストアすることに決めた。

カウル製作の前に、これから大変お世話になるであろう大学の施設の職員の方へ再訪問した。なぜなら新メンバーとの良いコミュニケーションの機会となると思ったからだ。

カウル製作

カウルを作る上で、問題点が2つあった。「どのようなものを作るのか」と「どうやって作るのか」である。

まず一つ目であるが、私たちは重大な問題を抱えていた。それはレストアするマシンの設計図を持っていないことだ。したがってCADで一からカウルを設計することにした。用いたのはSolidWorksである。

かなりアナログなやり方であったが、形になればよしっ!!!

二つ目は、たかが素人集団、そもそも作り方を知らない、ということだ。ただ私たちには早稲田チームという心強い救世主がいた。

早稲田チームのウィングの積層に参加させていただき、実際に積層を体験した。ここでの経験をもとにカウル製作には何が必要なのかをまとめ、作業を開始した。

スタイロを切る

つなげてイメージを確認

削る

アルミや養生でグルグル巻き

いざ積層

なかなかうまくいかない部分もあったが、無事初手完了。

先輩方のカウルと並べて見た。初めてにしては上出来なのでは?と調子に乗ってみたりする。

他のパーツも製作

そして積層

思い通りのモノができてホッと一息。

アームのリペア

次に足回りのレストアである。
足回りは特に腐食が激しく、ボルトやナットも錆びていたため、総取っ替えすることにした。まずはコストレポート(車両の設計図のようなもの)を引用し、スプレッドシートに必要な材料、長さ、個数などをまとめた。

パーツが完成したのち、塗装を行った。

この他にもいくつかのパーツ(リアウィングなど)を製作し、ほぼほぼ完成である。

あとはカラーリングを施した後、マシンをキャンパスに展示し、盛大に新歓を行おうと思っていたところ、例のアレが世界に大打撃を与えたため活動が休止してしまう。

活動ストップ

このレストアしたマシンを新歓オリエンテーションで展示するために、2020年の1月から3ヶ月打ち込んできた、そんな私たちにとってはまさに悲劇だった。まさか新歓が中止になるなんて。矢上祭に続いて天災による中止は2度目である。

今は不要不急の外出は控えるのが適切な対応であるが、キャンパス立ち入り不可期間はいつまで続くのだろうか。サークル向けのキャンパス利用が順に解禁となるらしいが、その一方で今年度は秋学期も含めて全面オンライン授業という噂もちらほら聞こえる。大学からの正式な伝達を待つほかないのだが、私の、私たちの学生フォーミュラへの挑戦の夢は叶うのだろうか。

編集後記

今こうして振り返ると、昨年はとことん学生フォーミュラチームのローンチに打ち込んだ1年間でした。どうしたらメンバーが集まってくれるのか、モノづくりに興味を持ってくれるのか、そんなことを24時間365日考えていたように思います。不運なこともいくつかありましたが、本当に学びの多い1年間でもありました。新型コロナウィルスによるサークルの活動自粛はいつまで続くかわかりませんし、場合によっては来年の大会もあるかどうかスラわかりません。しかし、ここで学んだことは必ずや別のフィールドでも生きると確信しています。活動の進行の円滑化、効率化、限られた予算と人数でやるにはどれがベストな選択肢なのか、これらはモノづくりに取り組んでこそ得られる経験だと思います。会社の縮図とも言われるほど学生フォーミュラは困難なことも多い一方、「何を学びたいか」を軸に持っていれば自己を圧倒的に伸ばす良い教育のフィールドなのではないでしょうか。

冒頭でも述べましたが、これから学生フォーミュラチームを立ち上げようとしている方に役立てれば幸いです。

2020年6月 後藤 建

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